百獣の女王
以前は高価だった脱毛も、現在では桁がひとつ落ちて気軽なものだ。私は昨年、結婚を良い機会として脱毛エステに通い始めた。なんとなく、ノースリーブの純白ドレスを着る新婦の脇はツルツルが適していると思ったのだ。
二年の契約なので今も定期的に通っているのだが、気になるのはエステティシャンの面々である。
ガチガチの濃いメイクに、焼きすぎた肌、髪は総じて茶色で毛先が金色に痛んでいる。サービス業なのにひどくえらそうだし、見るたびにライオンのようだと思う。
確かに我々お客は子羊である。服を剥がれ、毛のまだらに生えている恥ずかしき脇だとか足だとかを晒し、身を委ねる。子羊は報酬を払って毛を刈ってもらい、なぜかお愛想笑いまでして帰ってくるのだ。
最近はそんな状況にも楽しみをみつけた。施術中、眩しくないようサングラスをかけさせられるのだが、その奥からこっそりライオンたちを観察するのである。
中でも私の関心を惹いてやまない人がいる。小麦色の肌が似合っていて、金色に近い髪はサラサラと肩にかかる。二十五歳ぐらいに見えるが、低いハスキーボイスには風格さえ漂う女性だ。
彼女は仕事に厳しい。片腕を彼女が、もう片腕を新人が担当したときはひどかった。さっさと自分の分を終わらせて、後はずっと新人を睨んでいるのである。眉間に美しく縦皺を刻み、時折その手際の悪さは信じられないとでも言うように口をポカンと開けて見せた。新人は一度も顔をあげることができなかった。
その時は新人に同情した私も、数日後やはり彼女の施術跡のほうが素敵にツルツルだと気付き、彼女のやったのと同じように口を開け、顎を上げ、見えない新人を見下した。
彼女の厳しさは実は客側にも向いている。荒れた肌には容赦ない蔑みの視線をくれるのだ。ああ、ライオンの気高い視線!
エステ前日、子羊は彼女に笑ってもらえるよう、念入りに肌の手入れをする。まるで片思いである。
4.6th,2005 at 08:37
こういう人をキレイにするところへ行くとき、割と汚め(不潔ってことじゃなくて)で行くのも平気。というか、多いかも。
そんで「チミー、これをどこまで仕上げられるかね?ん?」的な視線で見たり(笑)
ま、そこまで高飛車じゃないけどさ。
4.7th,2005 at 00:15
うおー。みゅ女王! 惚れる!(笑)
わたしは美容院とかでも気合いれないと行けない派ですだ。いつでもどこでも結局は小心者でございます……