その考え方を保湿せよ
スキンケアが好きである。自分の肌の調子を整えるのは楽しい作業だし、そのためのスキンケアアイテムを選ぶのもまた面白い。買っただけで綺麗になった気分になるのだ。口コミが集まるサイトのランキングや書き込みを参考に、肌に何を与えるのかを慎重に決めていく。
それを見た男は言う。
「メーカーが書き込んでるんでしょ」
テレビはあまり見ないほうだが、たまにとても興味深い番組に出会うことがある。腹を抱えて笑ったり、鼻水たらして泣いたりしていると、男は言う。
「どうせやらせだよ」
本に熱中していると男は言う。
「本っていうのはね、思想を押し付けてるんだよ」
夢がない。
夢どころか物語もない。女は現実主義だと誰が言った。逆ではないか。真実はどうあれ言葉にせず、表層意識にのぼらせずに虚構を楽しむ、そういう粋を男たちはわかっていないのだ。
ほとんどの女は、噂や物語を信じることができる。真実を求めるより、現実をいかに楽しむかに頭を使ったほうが良いこともあると、女は知っているのだ。ロマンチックに夢を見て、それを壊されることは当然望んでいない。楽しみに水をさす危険因子があれば、排除しようとまでするだろう。
対して男はいつも間違える。場面に応じて台詞を変えることが、概して男は苦手なのである。男性諸君、何気なく言った言葉に女が過剰反応したら、それは「間違えた」のだ。排除されるかもしれないので、気をつけたほうがいい。
スキンケアしながら思考する時間が、きっと男にも必要なのだろう。化粧水を暖かい掌でじっくり滲み込ませながら、自分の考えに夢があるのか、その生き方に物語があるのか、確認するのだ。掌は女よりも大きいから、その分大きな夢を見れるかもしれない。ほら、そう考えると何だか気持ちがほかほかしてきただろう。
今、反論その他が頭に浮かんだそこの人、意見を口にする前に、まずは自分に合った化粧水は何なのか、調べることから始めるといい。