親愛なるナルシストたちへ
自分を好きでたまらない人間がいる。何人かの人間が集まれば、その中で一番可愛いのは自分だと言い出すのである。悪い人間ではない。思ったことを率直に口に出すことを得意としているだけだ。日本では珍しかったが、最近とても増えている。日常生活でもテレビの中でもよく耳にするようになった。
そういう言動は、自分に自信があるからこそできることだと思いがちだが、実は違う。自信のある人とない人がいるのではない。さらけ出すのを美とする人、隠すことを美とする人。その二種類の人間が存在するだけである。
ここで断言してみるのだが、人類の八割はナルシストである。
言葉に出す、出さないは関係ない。自己評価は誰もが日常的にやることであり、その評価はかなりの確率でプラス思考なのだ。十人の中で一番可愛いのはわたし、と思った女は、実際には三位程度だ。客観的に自分を見ることなどできないし、鏡の中の見慣れた自分をキレイの基準にしてしまうのは異常なことではない。そこまでなくとも、人は幾ばくかの贔屓目をどうしても捨てることができない。
ナルシストであることは、生き難い世の中を渡って行くにおいて、大切なことではあるが、正しい自分を知りたい気もする。どうすれば良いのだろう。クラスで一位だと思った人は七位、職場で一位だと思ったら十位。半径100kmで一位、自国で一位、地球で一位? 違う。規模に合わせて二割引きの自分を見るのだ。
しかし、「宇宙で一番キレイなのは、わたしだ」と本気で言える女がいたらどうする。いえいえ、あなたは宇宙で1億位。そんな指摘をするのは馬鹿げている。宇宙一なんて言い出すやつは、どこか果てしなくズレている。見たこともない宇宙人までランク付けしてしまえる無謀さ! ナルシストではなく大物だ。少なくともこれまでの人生ではお目にかかっていない。
そんな人がいたら友達になりたいのでメールください。