きみと記憶と朝

きみがいない朝
つよく風を受け
口を開けて居た
上を向いて居た
空はそこに居た
何も言えず居た
わたしと同じで
気持ちを消して
ただあおく居た

口を開けて居た
空気流れこんだ
呼吸できて居た
涙ながれ落ちた
きみがいなくて
きみがいない朝
空がそこに居た
滲んでただ居た

消えてなくなれ
消してしまえと
何度も涙ぬぐい
涙ぬぐい本当は
きみが居た朝を
その柔らかさを
覚えてきざんで
忘れたくないと
なお空を見上げ
なお涙落とした

回避

胸のうち
開放できない言葉は
このまま、膿んで、腐って
そして、風化するといい

空いた穴を、埋める術は
ひとつしかないとしても
そのために出来ることは
数え切れないから
ただ遥かだとうなだれておく

先を見てはならない
30センチ先の地面を指標として
進まなければならない

あるいは立ち止まり
あるいは寝転がり
息を吐いて、吐いて、吐いたら
少しは空気を親しいものとして
また胸のうちに入れる

太陽

唄いながら
てのひらを
太陽にかざした

そこに
エネルギーを
集めて
集めて

この身体の中
特定の不特定の幸せは
暖まり増殖する

肌寒い季節であっても

台風と猫

一日のほとんどを寝て過ごす猫とともに
わたしも、ただ寝るばかりの生活。

起こしてくれる人がなくて
今日もノビをしては、ベッドにもぐりこむ。

台風が来て、去って行きました。

それを歓迎した人がいたとして
わたしには関係のないこと。

胸の内にある、
いくつもの禁じられた言葉・行動
少しでも開放したら
この生活から開放されるのでしょうか。

それは違う。違うことすら承知。

台風が来て、去って行きました。
いつまでも雨は降りつづけます。

朝、曇り、雨、私。

瞬間的に私を支配した
その不思議な感情に、
逆らう事はできなかった。
私はゆっくりと手をまわし
自分の首を絞めはじめた。

ここが動脈。

雲により分散された朝の光は
窓から忍び込み、空間をゆるく暖める。
雨は、降っているのでしょうか?
私は空を見上げてしまう。

自分の手は、
自分を殺すのをためらう。