徒歩より
左足を前に出した次に右
交互に動かして少し、前に進みました
無心、自分の親指を見つめ歩きました
その爪にこびりついてる黒く、泥のようなもの
洗っても洗っても落ちない
指ごと切り取る勇気なんか
どうやら持ち合わせてはいないわけで
それが幸福なことなのかはわからない
真下に黒くあった影は次第に薄れて消えてゆき
親指を見ていた、俯いていた頭にそのつむじに
雨粒のひとつ落ちてきた
それは思うに大きな粒
わたしはようやく天を仰ぎ
わたしはようやく源を知り
喉はすうと通り視界は広く
ああもうすぐにでも躓いてしまうだろうと
小さな小さな石ころにさえ負けるだろうと
予想されるたくさんのマイナス事項が頭を埋めて
しかしまた新たに天より至るひとつぶ
そしてまたひとつぶ
口を大きく開けてばかみたいに開けて
呼吸するごとにかなしみで肺が凍ったとしても
そうだ泣いているのではなく
そうだ叫んでいるのでもなく
そうだたとえ笑えなくたって
ただここに居るだけで
ただ歩いてるだけで
わたしは待っていることができ
わたしは探しはじめることができ
わたしは生きてることができる
左足を前に出して次に、右